ゆびきり

詠士と再会したのは次の日の仕事場だった。


水族館の受付をしている私は、平日の暇な時間ずっと詠士のことを考えてしまっていた。


「いらっしゃいませ、何名様ですか?」


同じ言葉を毎日何度も繰り返す。


少しの間列が途切れ、気をぬいたときのことだった。


「こんにちは」


突然男性があいさつをしてきたので、私はハッとしてその客をみた。


「いらっしゃ……」


私はお客様の顔をみるなり、呆然としてしまった。