ゆびきり

独り、好きな人の家で暮らす梨由は抜け殻のように、何もせず、ただ、部屋で茫然としていることしかできなかった。



「おい、カギくらいしめとけよ」



いつも梨由の様子をみに詠士はきていた。



「ああ、きたんだ…」



力が抜けたようにしか話せない梨由、何もしてやれない詠士は、それでも梨由を独りにはさせたくなかった。



「ここに居て辛くない?」



「ここで、龍二と初めて触れ合った…幸せだったの…詩織が…あいつさえいなければ、私が愛されてたのに…」



梨由はそういって涙を流した。詠士は梨由の肩を抱き寄せて、頭を撫でた。




支えたい…



詠士は強くそう思ったんだ。



「じゃあ、一緒にここでくらそうか」



「えっ…?」



梨由は不思議そうに詠士を見つめた。



「好き…だよ、梨由のこと…たぶん…」



曖昧な詠士の告白に、梨由は小さく笑った。



「変な告白…………でも、ありがとう」



梨由はしがみつくように詠士の腕を握った。