ゆびきり

この日のために、三人はいろいろ考えていた。



詠士と真斗にとって、保護者みたいな役割だった倫子に初めて恩返しできる。それが三人にとって何より嬉しいことなんだ。



「ケーキつくらなきゃ!詠士も手伝って」


「はぁ?どうやって手伝うんだよ…」


「私の言われた通りに動けばいいの」


梨由と詠士はケーキ作りをはじめ、真斗は一人で店の飾り付けをしていた。



徐々に準備が整っていき、三人はあるいみ遊び感覚で作業をすすめていた。



「なんか、こんなふうにみんなでなんかすんのなんて初めてだよ」



真斗が言った。



「俺達、学校なんて真面目に行ったことないもんな」


「私は特別授業しかあんまでたことないよ。こういう作業だけいつも好きだったもん」


「何人がおんなじクラスだったら、すげー楽しかったかもな」


「そうだよね、まあ勉強はしなさそうだけど」



互いに学校へ何故かいかなかった三人、人付き合いが苦手で、いつも人の輪には入りこめずにいた。


なのに、自然と三人は輪になり、一緒にいる。



学校ではみつけれなかった友達、友達という存在をあらためて感じた。