ゆびきり

それをうっとうしそうにはらう詠士。


それを龍二も煙草をすいながら笑いながらみていた。



「あの頃が一番楽しかったよ…
龍二がいて梨由がいたときはね、初めてのバースデーパーティーなんて、恥ずかしくて楽しんでないふりしてたけどな」



懐かしそうに話す詠士の顔が羨ましかった。


その頃のポエムには私が入り込む隙間がなかったことを痛感する。


「詠士は、梨由も龍二も好きだったんだね」


認めたくなかったから、龍二の名前を出した。


好きな人に別の好きな人がいる…



そんな現実から逃げ出してしまいたいのに、それをさせてくれない。



「好きだったのかもな」



詠士の顔が少し曇った。