俺はずっと黙ってうつむいてた。


アキラは考え込む顔をして俺を見た。
「・・・・なぁ奏也」

「ん?」

「お前否定してたけど、ほんとにそのこのことが好きとかじゃないんだよな?」

「は?」




「近づくの、やめたほうがいいんじゃねえ?」



驚いて俺は反射的にアキラを睨んだ。



そんな俺の反応に、アキラはばつが悪そうにした。

「いや・・・・だって、軽い気持ちで近づいて良いこじゃないだろ?一緒にいたら傷つけちゃうかもしれないし、デリケートな問題だし。中途半端に優しくするのもよくないと思うし」

「・・・・・・・・・・」

言葉がつまる。アキラの言葉が、重く胸にのしかかった。


「あんまり関わらない方がいいんじゃねえ?」


「・・・・・・・・」



俺は何て答えたらいいのかわからなかった。



アキラの言うことは正しいと思う。

俺にはそんな問題は重過ぎるかもしれない。







でも、何かが心に引っかかる。




そのとき俺の頭に浮かんだのは、


未央の歌声と

気持ちの良い笑顔だった。