空は薄い青色

柔らかい日差しが薄い雲を通して降り注ぎ

秋の匂いは風にのってふんわりと街を包む。

枯れ木から赤い葉が一枚ひらりと落ちた。





そんな何でもない秋の日の放課後。
緑丘公園の側を通ったとき




どこからか


歌声が聞こえた。




高くかすれた声は透き通るように響き
じんわりと胸に沁みてくる。

繊細で
綺麗で
切なくて

とても不思議な声だった。



「何だ・・・・?」


歌声のするほうへ向かうと
ベンチに座っている女の子の後姿が見えた。

無意識に側へと足が動いた。
近くによるとより声が響いてくる。




歌は良く知らない歌だった。
歌詞もよく聞き取れない。


けれどひどく心を打つ。


綺麗な良く通る声。
でも
それだけじゃなくて、


どこかに悲しい色が隠れてる


切なさが耳を通して体中に広がった。

不思議な感情が体をめぐる。




胸が締め付けられた。