air-s Word


改めて「両親がいない」と書くと、周知のはずの事実がまるで知らないことのように思えた。


僕は両親はおろか、祖母も友人もいなくなってしまったというのに。



『いえ。両親だけでなく、祖母も、友人も、僕の周りからいなくなってしまいました。僕のどうしようもない所為のせいで、死んでしまったんです。』


歪んだ文字に反響するようにポツリ、と無意識に涙が溢れた。


溢れた涙はノートを滲ませていく。
滲んだ景色の中、同様に滲んでいく文字を眺めながら、どうしようもなく涙が止まらないのを感じた。