「…えっと、話を戻してっと…。そうだ。ここの説明をしなくちゃね。」
僕はうん、と頷く。
不思議なことに、初めて来たはずのこの空間に僕は妙な安心感を抱き始めていた。
「ここはね、私とさっきの人…えーっと、名前は野宮康野って言うんだけど。あとは彼の双子の妹ちゃんと、もう一人うるさいのが…って言ったら失礼か。元気な男子が暮らしてる、言わば寮みたいな所かな?皆高校生で歳も近いし、共同でこの家に住んでるの。と、言っても私達だけじゃなくてね?ちゃんと大人の人も住んでるんだけど」
『下宿、みたいなものですか?』
僕は尋ねた。
「そうだね。多分、下宿に近いと思う。けど、普通の下宿と違うのは…皆親がいないってこと、かな?」

