帰る所があるから、と書こうとして思い留まった。




-一人になる場所になら、帰ることはできる、けど。

お帰りと言ってくれる人はいないんだ。 これからどうなるのかも分からない…僕に帰る場所なんて、ないじゃないか。


『僕は赤の他人ですよ』



「…それを言うなら家に住んでる人は皆“赤の他人”だよ?」



僕は答えを返すことが出来なかった。


彼女の言葉に「助けて貰えるのかな」と期待を抱いたのかもしれない。
期待を抱かせてくれる状況に縋りたかったのかもしれない。




「はいっ、決定ね!葉くん、着いてきてね。ここから直ぐだから」