「…君」 「…ねえ、君!」 幻聴かと思った。 僕が作り出した幻かと思った。 「…ちょっと、大丈夫?」 けれど、その声は間違いなく僕に向けられていて。 後ろを向くと高校生くらいの少女が心配そうな顔をして僕のことを見ていた。パッチリとした瞳と目があい、形容し難い感情に駆られる。