「声…出てない?」 自分では話しているつもりなのに、声が音になって表れない。 喉の奥の辺りに何かがつかえて“音”を作り出してくれない。 空気だけが口から発せられて、その状況に僕は愕然とした。 「葉君?どうしたの?」 人の声が掻き消されるように耳に入らない。 体中から血の気が引いていく。 「…僕の声、聞こえてますよね?」