のに、どうして? -どうして? 鳴り続ける遮断機の警報。 遠くから反響する騒々しいサイレンの音。ざわめく群衆。 見上げると映る暗雲。 …そして、僕の悲鳴に似た叫び。 何を思ったのか祖母は、遮断機の中に踏みいった。 そこに、優しかった祖母の姿はない。 絶望と失意が存在するだけ。 目撃者の証言によると、祖母は涙を流しながらふらふらとした足取りだったそうだ。