「僕、魔王向いてないって思ってるんです……」


「そんなことないのです。頑張ってなのですよ!」

 
 私はがくっと肩を落としてはあとため息をつく少年に向かってエールを送りましたのです。
 
 サラサラの金髪はとても綺麗です。長い金髪を肩先で揺らし少年はため息をつき続けてます。

 私は綺麗な顔をしてるなってついつい見とれてしまっていますが、お仕事お仕事をしないとまた上司に怒られてしまうのですよ。私は少年へと向かってファイトなのです。と応援を送ります。

 他に言う事がないのかって? だって魔王様って私達の世界ではゲームや小説、アニメや漫画で勇者に倒されるべくして存在する悪い人なのですよ?

 この魔王様も勇者さん達と戦っているのです。
 なら私が出来る事は頑張ってということだけなのですよ。

 青い瞳はとても綺麗です。私より十歳くらい年下なのに大変ですねえと同情してしまいますよ。

 でもでも私は違う世界の人間なので、どうしてもこのような応援しかできないのです。

 それがいいのよってエリスレアさんは言ってますけど。

 目の前に座る男の子は魔王様なのです。
 
 私はカウンターに座り大変ですねとうんうん頷きながら愚痴を聞く係になってしまってるのですよ。

 魔王様はいつもすみませんと頭を下げてきたのです。愚痴を言ってばかりですみませんと。

 腰が低すぎるのですよ魔王様、私はいいえ大丈夫ですよと優しく笑う事しか出来ません。
 現在出来る事はこれくらいしかないのですから。

 魔王様の愚痴は続きます。勇者様のイメージは正義の人というのがこの愚痴で毎回覆えされますです。

 今回この魔王様のお話……私は勇者って結構あくどいのではないかと思ったのです。

 それはこんなお話でした……。