「ねぇ、なっちゃん。きこえる?」 「なにが?」 「なみのおと。このなみのおとをきいてるとね、いきてるなって、おもわない?」 なつは、そっと目を閉じる。 ………優しい、音がする。 なつたち、生きてるんだね。 心を安らげてくれるような優しい波音は、なつとあおちゃんを大きく包みこむ。 あおちゃんと手をつないで、寄り添い聞いた波の音を、いつまでも忘れないようにしたいと思った。