夏の幽霊











おばあちゃんの、料理をする音と、空腹で目が覚める



体はだいぶ楽になった



急な階段を下りると、おばあちゃんが、料理を作っていた






「おはよう、元気になったかい?」



「うん、もうだいぶ楽になったよ」



「そうか、あ、翔ちゃん」



「なに?」



おばあちゃんが包丁の手を止め、何か思い出したように、つぶやいた




「私がいない間に、お客さんが来たのかい?」



「お客さん?来てないと思うけど」




眠ってはいたが、誰かが来たらすぐ分かっただろう




「玄関にね、これが置いてあったのよ」





そういって、冷蔵庫の中から取り出したのは、2匹の立派な魚だった





「あ」



「思い当たるかね?」



「僕の、友達かも」


そういうと、おばあちゃんは細い目をまるくして


「そうかい、そうかい、お友達ができたんだね」


「うん、リュウって言うんだ」


おばあちゃんは少し考えて



「リュウくんね、聞いたことのない名前だけど、私も年だからね」



といって、笑顔で




「お前の体調を心配してこんないい魚を届けてくれるお友達がいてよかったよ」




「うん」



「今日は焼き魚がいいかね?それとも煮付けにするかい?」




「煮付け!」







隣の居間のちゃぶ台に腰掛けて古いテレビを見ていると、醤油の甘辛いにおいが漂ってきた



ほどなくして、いい色に煮込まれた魚が出てきた



白くてほわほわのご飯と一緒に、その甘辛くて少し濃いめの味付けの魚を口に入れる


魚は程よく脂がのっていて、口の中でほろほろと崩れた



お腹いっぱいになって幸せな気持ちで眠りについた



リュウの魚のおかげだろうか、今日は熱は出なかった