夏の幽霊






幸い、朝にはその熱も下がり、少しのだるさとともに夏の暑さの中に飛び出していった



水たまりの近くは、相変わらずの涼しさだった


そして、彼は今日もそこにいた



「おはよう、今日は少し遅かったね」


いつもの明るい声で、リュウは僕に話しかける


「うん、ちょっと夜に熱出しちゃって」



……….




「……..そっか、もう大丈夫なの?」



「うん、もう平気」



「そっか、良かった」





その日も涼しい木陰で魚釣りをした



しかし








「げほっ、げほっ」




突然咳が止まらなくなった



なぜだろう、熱は昨日のうちに収まったのに




まだ慣れない環境で疲れているのかな





「大丈夫か?」



「大丈夫、たぶんまだ慣れてないから疲れちゃっただけだよ」



「夏風邪引くなよ」



「うん」







結局、その日は咳が止まらなかった




日が暮れるよりかなり早い時間に、つりを切り上げて家に帰る



いつも一瞬で駆けていく道がやけに遠く感じた



咳のせいで、だいぶ痛々しい声になった僕を、おばあちゃんが心配して、少ししょうがのはいったお茶を出してくれた


からかったが、飲み終わると体が暖かくなり、すこしすっきりした気分になった



でも、その夜も僕は熱を出した




翌日は、水たまりに行くことを禁止された



朝になっても少しだけ熱がありだるさが昨日よりもだいぶ重くなった






「はぁ」



薄い布団にくるまってため息をつく




「リュウ、しんぱいしてないかなぁ」




泣き始めた蝉の声を聞きながら、浅い眠りにつく