夏の幽霊






オレンジ色の液体を喉に流し込むと、みかんのなんとも言えない甘酸っぱさが歩き疲れてカラカラになった体に染み込んでいく



「ぷはぁ」


甘いのに口の中に残らない爽やかさがあるのは、きっと砂糖を使っていないからだろう


久しぶりにこんなに美味しいジュースを飲んだ



周りを見渡すと、大人たちはもうすでにすごい勢いで飲み始めていた


睡蓮は、茶色いマムシ酒を、一口づつ熱いものを飲み込むように飲んでいた、白い頬は軽く色づき、機嫌が良さそうだ


チヨは、初めはおっかなびっくりちびちび飲んでいた葡萄酒を、慣れてきたのか涼しい顔をしてどんどん飲み進んでいる


白蓮は、これまたびっくり、睡蓮とチヨを相手に笑顔で話しながら、清酒の瓶を目を見張るような速さで開けている



「白蓮、お主強いのぅ、ザルかの?」

『酒はなぜかいけるんですよ』



話している間にも顔色一つ変えず、がっぱがっぱと開けていく



紅蓮はというと、



『っく、ひゅいれんしゃま〜ひっく』


顔を真っ赤に染めてすでに酔っていた


手には、ビール一本、それもまだ1杯も飲み切っていない



「紅蓮、弱いの?」


僕がつぶやくと、睡蓮は吹き出すように笑った



『ほら、紅、毎回すぐ潰れるとわかってるんだから飲むなと言っているだろう』

『っく、らって、ひっく』

『だってじゃない、寝てろ』



そう言って部屋の水たまりに浸してあった布を白蓮は軽く絞って紅蓮に投げてよこす


その布は冷たく冷えているのか、紅蓮は布を顔に当てて気持ち良さそうに眠っている





楽しそうだなぁ、僕もお酒が飲めたらなぁ




そんなことを考えていると、突然、視界が歪んだ



まるで水の中からみんなのことを見ているような感じで視界全体が大きく揺れ動く


驚いて目を閉じる