「翔太、この女狐は睡蓮だ」
「誰が女狐じゃ、妖狐とお言い」
妖狐、ということは、この人が狐の言っていた13尾の妖狐なのだろうか
「人の子、おい、聞いておるか?」
深い声に話しかけられてはっと顔を上げる
水色の尻尾をゆらゆら揺らしながら、睡蓮はこっちをじぃっと見ている
「人の子、お主、名は翔太と言ったか?それは真名か?」
「そうじゃと言っておろう、このアホは妖に真名を明かす大馬鹿ものだと」
「随分とひどく言ってくれるじゃないか………」
僕が軽く心に痛い思いをしているのなんて気にもせず、睡蓮は、もう一度問いかける
「チヨに聞いているのではないぞ、答えよ、人の子」
「…………」
深い藍色の瞳が僕を覗き込む
全てを見透かされているような錯覚
恐怖とも違う怖さ
「そうです、僕は翔太です」
「ほぅ、そうかそうか、翔太か、こっちに来て見なさい」
ふわりと睡蓮は微笑んだ、さっきまでの圧倒的な怖さはもうなかった
睡蓮は、さっきまで自分が眠っていた寝台の薄い布をめくり上げてなかに入るように促している
「う、うん」
『睡蓮さまぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!』
聞き覚えのある甲高い声
「ん?なんじゃ、白蓮」
『睡蓮さま、そやつは人の子、睡蓮様の寝台に入るなど言語道断、穢れに合いますぞ』
「迷信じゃ、そんなの」
妖が迷信を説くか… ……………



