夏の幽霊




「はぁ、はぁ」


荒い息をついて僕はドアのしたにしゃがみこんだ


目の前がぐるぐる回り

頭は締め付けられたように痛い

喉はひゅうひゅう鳴るし、足は棒のようになっている





「やっとついたか、翔太」


ずっと探していた声を聞いて、ようやく痛みの引いて来た頭を上げた


「チヨ.....」

「まあ、ここまで来れただけ上出来じゃの」

「え?」

「さ、立て、睡蓮のところにいくぞ」



疲れ果てている僕を置いて、チヨは歩いて行く


「まって」


さっきまで疲れ切っていた足は、不思議なほどすぐ動いた


辺りを見渡すと、そこは、洋風の部屋だった

真っ白いつるつるした石で床と壁が作られている

その中に、青で統一された小物類が少しだけ置いてある

この宮の外観とよく似た色合いだった


チヨの下駄がからんころんと気味のいい音を立てる

僕のスニーカーは、きゅっきゅ音を立てる

僕はそれが妙に耳について仕方がなかった


チヨが、部屋の端までいき、両開きのドアに手を掛ける




ドアが開くと同時に、冷たい水の匂いと、かすかに花の香りがした