「えぇーーーー、すげーーー」
生まれて初めての体験に、僕は、感嘆の声を漏らすほかなかった
門を振り返ってきたり、自分の体を見回す僕だったが、ここで本来の目的を思い出して周りを見回す
そこは、大きな寺に見えた
赤い柱に瓦の屋根、しめ縄に賽銭箱
「寺?」
『人間か?』
『人間だ、誰が招いた』
『睡蓮様か?』
気がつくと周りには、大小様々、色とりどりの狐たち
あの狐以外にも、しゃべる狐がいたのか
「あ、っと、えぇと」
何か言おうか迷って辺りを見回すけど、チヨはおろか、狐さえもいない
「どうしようかな」
『おぬし、睡蓮様に御用か』
悩んでいると、いつの間にやら集まり始めていた狐の群れから声がした
老齢なおじいちゃんの声がした
「だれ?」
『わしじゃ』
声は言った、すると、狐の群れの中から、黄ばんだ白い毛を持つ老狐が進み出てきた
その狐は、他の狐にはないちょっとした威厳があった
『で、どうなんじゃ?言わないと分からないぞ』
その言葉で、少々呆気にとられていた僕は、はっと気がついた
「そ、そうです、でも、一緒に来た人たちが・・・・」
『大丈夫じゃよ、睡蓮様の宮は行ける奴ならこの場所のどこからでも行けるけんの』
「よ、良かった」
老弧は、しっぽの先をちょんと揺らした
『ほれ、今来た鳥居をみてみなさい』
僕は言われた通り、後ろを振り向く
目の前には、長く続く鳥居があったが、明らかにさっきと違うことがある
「ん?奥に何か・・」
それは、さっき来た入り口でもなく、永遠に続く鳥居でもなかった



