狐の声で顔を上げる
そこには、見渡す限りの赤があった
正確には、たくさんの鳥居、森の緑と相まって何とも言えぬ美しさ
鳥居の赤は全く色あせておらず、眩しいほどの輝きを持っている
狐に護られているはずの僕でさえ、霊気のようなもの(まだ良く分からないけど)を感じることができた
ということは、ここが・・・・
「妖が消えている理由、それは、睡蓮に近づいているからじゃ」
チヨが、唇に薄い笑いを含ませながら言った
『ここの鳥居を抜けたら直ぐだ』
僕は、少し前へ出て、鳥居の中を覗き込むその鳥居は、それ自体が長い長いトンネルの用で、出口など無いように思えた
「なんだ、すぐではないか」
チヨは、すたすたと歩き出し、鳥居をくぐる
すると、スッと、チヨの姿だけが消えた
鳥居は、まだまだ奥に続いている
『小僧、大丈夫だ、ここの鳥居は、睡蓮様に招かれたものしか、入れん。招かれてもいないのに入ろうとする奴は、睡蓮様より先に鳥居が拒む、永遠の鳥居地獄だ』
背筋が震えた
『そして、お前は招かれている、たった一歩で、睡蓮様のところへ行けるだろう』
僕は、おそるおそる鳥居に近づき、チヨが消えたところの少し前で止まる
ちょっと考えて、息を止めて一気に入る
すっ
想像していたよりも自然な感覚だった、しかし、明らかに違うことが一つある
「あれ、出口」
あんなに遠くに、ないものと同じように見えた鳥居の出口が、大きく口を開けて、目の前にあった



