チヨは相変わらずすいすいと木の根を飛び越えていく
僕はというと、だいぶ慣れてきたものの時々つまづいてしまう
狐は・・・重力がかかっていないかのように飛ぶように進んでいる
「チヨ」
「なんだ?」
「睡蓮ってだれ?」
「それはのぅ・・・」
チヨが説明をしようとすると、さっきまで気持ちよさそうにフヨフヨ飛んでいた狐が突然甲高い声を上げて騒ぎ始めた
『きききき貴様ぁ!!!この小僧!気高き睡蓮様を呼び捨てに!!人の子故睡蓮様を知らないのは許そうと思っておったのに!!!!この無礼者めが!!!』
白い毛並みを真っ赤にして狐は怒った
「あ、ご、ごめん」
『ふん、次無礼を働いたら許さん、人の子であろうとこの俺が呪い殺してやる』
何やら物騒なことをいながら狐はどんどん進んでいく
「睡蓮はな、この山を統べる13尾の妖狐だ、私の古い友人でな、まだ封印される前のことなんだが、よく二人でこの狐をからかったものよ」
ほほほほと愉快そうに笑いながら話すチヨ
よかった、睡蓮様って人は悪い人ではなさそうだ
そんな話をしながら、森の中を歩く
狐が、ナガレモノとよんだ妖がだんだん減ってきている気がする
「ねぇ、半透明の奴が消えてるんだけど」
チヨは、辺りを見回すこともなく、静かに言った
「ここは聖域じゃからな、弱い妖、ナガレモノの類いは、気に当てられてしまって入っては来れない、本来ならば人の子はこの近くをたまたま通っただけで当てられて、しばらく熱を出してしまうんじゃが」
チヨはいいながら今だにぷりぷり怒っている狐を見る
「あの狐が、お前さんに術をかけている、ここの気に当てられないようにな」
「へ、へぇ」
ちょっと理解が追いつかないところもあったが、狐が僕を護ってくれているということは分かった
「で、妖が消えている理由じゃが・・・・・」
『着いたぞ』



