「…っぷ…くくっ」
口元を押さえて笑う彼……って…
「え?え?わたしなにか
笑われるようなことしましたかっ!?」
30秒前の自分の行動を振り返っても
……思いつかない。
「いや、なんで敬語なのかな〜って」
彼はこっちを見つめ、こう続けた
「青峰…葉流…だろ?」
彼の口から
予想もしてなかった
わたしの名前が発せられ
心臓がどきりと波打つ。
「なん…で…?」
どきどきしながら聞くと彼は
「俺…川崎 陵(かわさき りょう)。
2年B組。よろしくな…ハル。」
「…よろしく…です。…川崎…さん。」
いきなりタメ口もどうかな?と思い
カタコトの敬語になってしまった。
「ぷはっ…ハルおもしれぇ…くくっ」
「俺のことはりょうでいいよ。
あとタメでいいから」
「じ、じゃあせめてりょうくんで!」
わたしは早口で言った。
「…んー。まぁーいいかっ」
起こしてごめんと
もう1度謝るりょうくんに
「いいよいいよっ」
今度はちゃんと話せた。