あの日。
私たちは15歳になったばかりだった。
針葉樹は暗い緑をさらに濃くして、冬を待ってる。
父と母の死は、突然だった。
二人はいつもの愛用のジープで街に買い出しに行ってた。
いつもの帰り道。
山のまがり道。
ガードレールに車ごと突っ込んで、崖から落ちて、即死だった。
いつもの帰り道。
15歳。
マリ姉はどこか冷めていたように思う。
私たち二人とも、死なんて何の実感もない。