マリ姉は15歳でマキを捨てた。
だけどマキはマリ姉を嫌いになれない。
マリ姉は、自分の欲しいものがわかってる。
ただ、その為に努力してるだけ。
まっすぐに。
自分のやり方で。
それが、マキの大切にしたいものとは違ってたって、ただ、それだけ。
マキの大切なもの。
父と母と、マリ姉と、おだやかにすごす時間。
この静かな森のはじまりの場所で。
この生活は、何もないのかもしれないけど。
大切なものは全て手に入れてるって。
だって、マキはあの時、マリ姉と一緒に暮らしてゆきたかった。
おだやかな森に、守られながら。