マリとマキは小さな喫茶店に入った。
落ち着いた濃いブラウンの扉を開ければ、心地よいクラシック音楽が流れてる。
二人、席に着いて簡単な注文をすませてしまうと、ふと、沈黙の時間が訪れた。
マリはマキを見つめた。
気付いて、マキは少し伏し目がちになる。
桜色の頬、白い肌、薄化粧で。
ふんわりとした、長い巻き毛も、あの頃のまま。
…綺麗な子。
真っ白なコットンのワンピースがまぶしい。
そして、左手の薬指には、婚約指輪…