街、という存在。
隔離された社会。
難しいことは、わからないけれど。
いつのころからか、この国のほとんどの人間が、街に住んでいる。
私たちの両親や、ごく少ない隣人たち。
もちろん私たちも含めて。街の外に住んでいる人々は、どこか、社会からこぼれおちてきた、そんな過去をもっているようだった。
そして、そんな人々がまた集まって、森の近くに自分たちなりの新しい社会を作ろうとしている。
街、に敵になることは無いけれど。
街、に支配されたくもない。
「みんな街に住みたがるのよ。私には理解できないけれど。」
誰かの声。