「マキ...」
そう、だからあの時、涙、溢れてしまったの。
どこにも行ってほしくなくて。
思い、溢れて。
一人にしないで。
「私は街にでるわ。自分の生活くらい、自分で何とかしてみせる。大丈夫よ。私たちもうすぐ16歳だもの。何とかやっていけるわ。」
そうやって微笑んだマリ姉の姿。とても力強く、大人の女性に見えた。
「私たち、大人にならなきゃいけないわ。…マキ。」
私たち、双子なのに。
同い年なのに。
さっきまで、同じ場所にいたのに。
マリ姉は、どうしてそんなに大人になれるんだろう?