「遺体……?」
"警察"絡みの遺体等、普通であるはずがない。快はゴクリと唾を飲んだ。
「ああ」
苦しそうな声で耕助がうなずく。
「詳しくは判らないが……側に男性の遺体もあって……状況から結奈ちゃんは……」
「……」
耕助の言葉に快が思わず耕助たちから顔を背けた。と、背けた視線の先に瀬奈の姿が映り、驚いた。
「瀬奈……!」
快が息を呑む。瀬奈の手には携帯電話が握られていた。
「今、お母さんから電話が……」
小さく瀬奈が言った。耕助と紗織も一瞬、言葉をなくした。
「あの、警察に……連れてってください」
夜の闇に包まれた静かに廊下に、瀬奈の小さくて透き通るような声が、頼りなく響いた。