――まさか……俺の事……。
ぬるい回路が不安を掻き立てる。快はしっかりと彼女を抱き締め、細い肩に口づけた。
「瀬奈……」
瀬奈は何も言わない。黙って快の腕に身を預けている。しかし、それが返って不安をあおり、快の気持ちを焦らせた。
瀬奈の身体が冷たい。
いつもとは明らかに違う温もりに不安でたまらなくなり、胸が締め付けられて痛くなってくる。
「快」
すると、まるでそれを察したように、瀬奈がようやく腕を伸ばし、快を抱き返してき。
「ごめんね……」快の背中に触れながら、瀬奈が辛そうに目を閉じ、言った。
「……何も、何もできなくてごめん……」
肌を通して伝わる、微かな振動。その振動に気付いた快は瀬奈を更に強く抱き締めると、今の自分のありったけの愛情を込めたキスを、彼女に捧げた。