――瀬奈、お前は俺の全て。お前が側にいないと俺は……。 こんなに側にいるのにまだ足りない。ずっと抱いていたいし、抱き締められたい。 「ん……」 今は何も知らない瀬奈が寝返りをうち、快に背を向ける。 ――瀬奈。 彼女が愛情という“海”ならば、快はそれに飛び込み、執着して深海へと落ちて行く小さな"深海魚"。 ――離れられない。 快は更に瀬奈に体を寄せると、そっと瀬奈を抱き締めた。