「あっ!ねぇねぇ
あそこのカフェ寄って帰ろうよ?」


亜子の指差す方には、


私にとって、最悪な思い出となっている


智也に振られ、

変な男に連れ出された


あの、お洒落なカフェがある。



「いつものとこの方がいいんじゃない?
ほら、あそこ
カップル多いし・・・」


「1人で行くには勇気いるけど
女2人なら全然おかしくないじゃん。
ね、ほら行こう行こうっ」



強引に最悪な思い出の場所となっている
お洒落なカフェの店内へ入り


偶然にも亜子が選んだ席は


私が、智也に振られた

窓際の席だ・・・・。



恨んでしまいそうな偶然に

顔が引きつってしまいそうになる。



「何か、ここ静かな店だね」


けれど、

楽しげに、小声で
話す亜子を見ていると


自然と、自分まで

楽しくなってくるから不思議だ。