大輔に開けてもらい
中に入ると、

部屋の隅に
女物のリュックやバッグが
視界に入ってしまい

もう、私の居場所はないんだと

傷ついてしまう弱い自分がいる。


「忘れ物、あったか?」


立ち尽くす私の後から
大輔が室内へと入ってきた。


「優奈?」


背後からの大輔の声が
痛いくらいに
私の心に響き


「どうした?」


言葉を交わす事すら、

この場面を誤魔化す事すら

表情を作ることすら


何もできない。



「・・・優奈?」


そう言いながら
私の前へ回り込んでくる大輔。


とっさに、顔を下に向けたけれど



「ったく・・・
誤解すんなって
言ってんのに・・」



そう笑うように
ため息をつきながら
私の頭に手を置くと
そのまま
大輔の胸に引き寄せられた。


久しぶりに感じる
大輔の香水の匂いに
張っていた気が切れるように
大輔の服に顔を埋め
声を押し殺しながら泣いてしまっている。