「もう!許さんからっっ」 坂口さんの片方の頬をつまんで 小さな反撃をしてみたけど、 「…。 なーに?」 坂口さんは全く動じなくて。 なんとかやり返したい俺は、もう片方の頬もつまんだ。 「…ん〜」 「アハハ。 坂口さん、マヌケ顔っ ……や」 だけど、眉間にシワを寄せて困ったように見上げる姿に、俺はゴクリと息を飲んだ。 「ねー、はなして」 坂口さんが手を掴んで離そうとする。 「…っ」 触れられた手の体温とあまりの距離の近さに、心臓がはっきりと音をたてた。