あの後、私は泣きながら家へ帰った
家に帰ってきても涙が枯れる事なく溢れてくる

いつの間にか泣き疲れて寝ていて目が覚めても考える事は、さっきの事ばかり…
オフだから仕事なんて嘘

きっと蓮くんが明希に言うだろう…

こんな小さい自分に腹が立つ

明希がモテる事は、付き合う前から知っていた

でも明希は、いつも私を気にかけてくれ、優しくしてくれる

けど私は、照れくさくて明希に冷たく接してしまう

ほんとは、美嘉みたいな子が羨ましい

好きな人にあんな風に接する事が出来て…

ソファーでボーッと電気も付けずそんな事を考えていた

ガチャ…

いきなりドアが開いて「 来瞳?」という聞き慣れた声がした

振り返ると明希が合鍵で入ってきた

明希が私に向かって心配そうに「電気も付けんで、何してんねん…」と言ったから私は、「あっ…ウソ…今何時?」と明希に聞き返した
明希が「夜中の2時やで?寝てたんか?」と聞いてきたから「えっ…うん…寝てた…」と私が言った

明希が「起こして悪いな…てか今日、オフやってんな?」と言いながら私の隣に腰掛ける

久々に隣に感じる体温がなんだか切ない…

こんなに一緒にいる時間がない事を実感した

明希が「オフって言ってくれれば時間作ったのに…」と言ったが私は、誤魔化す様に「気にしなくていいよ…家で仕事しないといけなかったし…何か飲む?」と私は、明希に聞いた

明希が「あぁ、かまへんで!あのさ…今日の美嘉が言ってた事やけど 明希に謝りたくて…」と話始めた
聞きたくない…と思う私

明希が「この前の打ち上げの後な、ほんまは、美嘉といたんや…」と言った

嫌だ…
聞きたくない…
と私の心が拒否反応を起こす

明希が必死に「でもアイツが言うとる事勘違いせんといて…店出た後にタクシーに乗せたんや、でも泣いて俺から離れんくて、泣き止むん待ってたら朝になってもーたんや…」と弁解する

じゃ…何故あの時、仕事だと言ったの?と私は、心の中で呟いた

「ほんまゴメン…でもアイツとはほんま何もないから!」と謝る明希

「じゃ、なんで嘘をつくの?」と私は、明希に聞いてみた

すると明希は、「 来瞳は、忙しいやろ思ってケンカになったらお互い仕事に影響する思って…」と言った

「何それ…忙しい忙しいってそんな大事なこと言わないのはおかしくない?私なら大丈夫だと思ってるんでしょ…?」と私は、苛々しながら明希に言った

すると「俺やって…来瞳は、俺の事そんな気にしてへんやん?ほんまに俺の事好きなんか?」と明希が悲しい顔で訊いてきた

「出会ってから、2人でいるん数えれるくらいやし… 明希はわがまま言わんから助かる反面、何考えてるかわからん…」と言い明希は、頭をかかえた
あぁ…
やっぱり私には好きな人を幸せにできないんだ…
こんな顔しかさせれないんだ…と私は、心の中でそう思った

暫くすると明希が「悪い…こんな事言いに来たんちゃうねん…今日は一緒にいるわ…」と言った

こんな時、"好き"とか"大好き"と言って抱き締めたいのに私の体と口は動かない…

私が欲しい物は何?

明希との時間?
そんなの毎日でも欲しい…
CDの売上げ?
そんなのどうだっていい

ただ好きな歌で人を笑顔にしたい

愛する人を幸せにしたい

好きな物全てが欲しいのはやっぱり我が儘だ…

明希が「今日は一緒に寝よう…」と言って私の手を引っ張って寝室に連れて行き、ふたりしてベッドに横になると明希は、私を抱き締めた

でも、私は素直に抱き締め返す事が出来ずにいた

すると明希が心配そうな顔で「来瞳?」と言ってきたから私は、「えっ…あっ…ゴメン…寝よっか…」と言い私達は一緒に眠りにつく

明希は、まるで子供の様に私の胸の中にいる

そんな明希が眠るまで頭を撫でていた

普段はエロくてヘナヘナしてるがこんな彼を見れるのは私しかいない

愛しくて愛しくてもう明希無しでは生きていけない程になっている自分が怖かった

ずっと綺麗な寝顔を見ていたい

サラサラの髪も白くてたくましい体も私を呼ぶ声も全部、全部私だけのモノにしたい…
私は、「愛…してる…」と寝息を立てる明希に囁いた
翌日、明希を起こさないように仕事へ向かった