【来瞳 視点】

私は、「いってきます」と誰もいない部屋に呟く

明希は、県外に行っていていない

ずっと1人で過ごしていた部屋

明希が住むようになり、帰るのが楽しみになっていた
「今日…帰ってくるんだ…」と独り言の様に私が呟くとマネージャーが「なんか言った?」と聞いてきたから私は、「ううん…」と言った
仕事に行く車内で明希の事を考えていた

そして深夜になる前に帰宅する

家に入り「ただいま!」と言ってリビングに行くと電気だけが付いていた

私は、「明希?」と言い、ふと、テーブルを見ると携帯が置かれていて電話なのかずっと震えていた

きっとコンビニでも行ってるのだろう…

でも女の勘なのか…

ずっと震えている携帯が気になった

いけないとわかっていても画面をチラッと見た

着信"美雨 "

「えっ…美雨さん?」と私は、呟いた

仲が良いのは知っていたが…

実際に見てしまうとキツイ…
しかも訊いた時に少し様子がおかしかったし…

その時、玄関が開く音がした

私は慌てて、携帯の前から離れる

明希が「あっ、帰ってたんや!」と言い私は、「うん…さっきね…」と返事をした

明希は、コンビニの袋から食べ物を出し、携帯を確認していた

それを何事もなく見る私

いつもなら目の前で連絡を折り返す

でも今日は違ったんだ…

明希が「あかん、買い忘れた物あったしもう一回コンビニに行ってくるわ!」そう言って携帯を持ち、急いで外へ出て行く

私は、明希の居なくなった部屋で「財布…持たないで…?」と1人呟く…

そんなに大切な電話なの?
聞かれたくない事?

いくら仲が良くてもおかしいよね…

「ダメだ…シャワー浴びて寝よ…」と私は呟き、これ以上考えると疑いだけになってしまうと思い、シャワーを浴びて寝室へ向かう

疲れていたのか、その日は、すぐに眠りにつく

「来瞳…おやすみ」と言う明希の声が聞こえた

明希がいつ帰ってきたのかもわからなかった…

-翌日-

朝から仕事な為、明希より先に目を覚ます

隣に眠る明希

そっと頬を撫でる

「私だけだよね…?」と私は呟き、眠る明希に問い掛ける

もうあんな想いはしたくなくてもこの世界にいれば、男でも女でも知り合いや友達が増えるわけで…

片っ端から疑ってたら切りがない

私は、「いってきます…」と囁き、明希の頬にそっと口づける

仕事へ向かい撮影の為、メイクをしてもらっていた

コンコン

誰かがドアをノックした

メイクさんが「はい!どうぞ!」と答える

すると美雨さんが「ごめんなさい!失礼します!」と言いメイクさんが「あら、美雨さん!」と言った

私は、「えっ…」と呟いた
ドアから顔を覗かせた美雨さん

まさか突然、会う日が来たのだ…

美雨さんが「昨日忘れ物しちゃって!腕時計なかったですか?」とメイクさんに尋ねるとメイクさんが「あっ、そういえば…」と言いメイクさんが私から離れ、自分の荷物を触っていた

鏡越しで目が合う

私は、軽く会釈した

すると美雨さんが「あっ!来瞳ちゃんだ!」そう言って笑顔をくれた

美雨さんが「やっと会えたね!私ね、来瞳ちゃんの曲大好きなの! 」と言い私は、「ありがとうございます…事務所一緒なのに会えなかったんで、私も会いたかったんです」とそう言うと美雨さんが「そうなんだ!嬉しい!でも事務所変わってしまったの…明希と同じになったの!」と言った
"明希"…そう呼んだ

それだけなのに私の心にチクリと棘が刺さったかの様に胸が痛くなった

すると美雨さんが「あっ、来瞳ちゃんの報道見たよ!堂々と交際宣言なんてカッコイイって思っちゃった!」と言った

私が「いえ…そんな事…」と言うとメイクさんが「あった!はい、腕時計!」とメイクさんが腕時計を美雨さんに渡した

それを受け取った美雨さんが「良かった…大切な物だったの…」と言うとメイクさんが「彼氏からのプレゼントだったり?」と聞いた

すると美雨さんが「昔のね…」と言い時計を大切そうに握った

少しその時計が見えた

その腕時計は、明希がしていた物と色違いだった…

ねぇ明希…

美雨さんとどういう関係だったの…?

私とは同じ物なんて身に付けないのに…

今でも私の事、好きなの?
本当の事を言ってよ…

疑いたくなくても何も言ってくれなきゃわからないよ…

すると美雨さんが「来瞳ちゃん、今度私のliveあるから明希とおいでよ!打ち上げも!もっと話したいし!」とそうニコニコしながら言ってくれる美雨さん

見ててわかるくらい明希が言ってた通りの人だった…
美雨さんが部屋を出る時に握手を交わした

その手は、温かくてもしかしたらこの人に明希を"取られてしまう"と思ってしまった…