「え? あの?」
「手、掴んで」
急な事で戸惑う私をものともせずに、もう一度微笑んで手を伸ばす大西主任
大きな瞳が細められて、目じりが下がっている
一瞬躊躇したが、ゆっくりとその手を掴む
すると、ものすごい勢いで体が浮いて
一気にバルコニーまで体を持ち上げられた
驚いて声を出す暇もなく着いた場所
一気に太陽の光が降りそそいで、思わず目を萎めた
すると、そんな世界の中で同じように眩しい笑顔で大西主任が笑う
「大丈夫?」
そう言って、子供みたいに笑った主任
そして掴んでいた私の手を離して、バルコニーの手すりまで歩いて行った
昇ってみて驚いた
見た目より、カナリ大きなバルコニー
大人3人くらい寝転ぶ事ができそうなスペースだ
「ここ、昇れたんですね」
「ん? あぁ、俺も先輩に教えてもらった場所なんだ」
キョロキョロと辺りを見渡しながら、そう言うと振り返った大西主任がそう言う
青空の下に飾られたその笑顔が、本当にキラキラと輝いている



