それから、大西主任に言われるままに披露宴会場に入ってバルコニーの下まで向かう
クロスも何もひかれていない披露宴会場は、なんだか閑散として見える
「あそこかな…」
小さく息を吐いて、上にあるバルコニーを見上げた
というか、あそこ昇れたんだ
てっきり飾りか何かだと思っていた
そんな事を思いながら昇る所を探していると、大きなカーテンに隠れる様にして梯子が掛けられていた
「こんなもの、あったんだ~」
大きな口を開きながら、長い梯子の先を見つめる
すると、バルコニーの入り口からひょっこりと大西主任が顔を出した
「昇れる?」
「な...なんとか」
小さい頃は田舎育ちの私
記憶の中では木登りはできたはず
それに高い所は割と好きだ
よし。いける
ゴクンと唾を飲んでから、一つ一つ梯子を上る
カツカツと金属の音を響かせながら、徐々に明るくなる世界
下を見ない様に、無心で梯子を上っていくと
「はい」
突然視界に大きな手が映った
真っ直ぐ前を見ていた顔を上げると、ニッコリと笑う大西主任が片手を差し出している



