太陽と月



飯島部長の背中を見送ってから、デスクの上を片付けて事務所を出る




平日の昼間のプランナーさん達は事務作業に追われる事が多く、事務所の外は誰もいない

静かな空間が、なんだか非現実的に感じる

休日はここがお客さんで溢れかえっていると思うと、なんだか不思議だった




それからウロウロと倉庫などを探して回るが、一向に大西主任の姿は見つからなかった

会場の中は以前案内してもらったから、見過ごしている場所はないはずだけど...




そう思いながら、何度も同じ所をぐるぐると回っていると






「もしかして、俺の事探してる?」




不意に振ってきた声にビクリとその場で飛び上がる

それと同時にキョロキョロと辺りを見渡すが、声の主は見当たらない


あれ? 空耳?

いや、でもあんなハッキリした空耳なんて…


不思議に思いながら、声の主を探していると





「上、上」




笑い声の含んだ声が聞こえて、その声の通りに上を向く

すると




「お疲れ様」



太陽の光を背に、大西主任が披露宴会場の2階のバルコニーから顔を覗かせていた