余興のお客と仲良く話す瀬川を見て
何故か無性に腹が立った
その男は明らか好意を持っているのに
無垢な瀬川は、そんな男の表情には気づかない
「南様と打合せがあるんでっ」
俺の言葉を遮って、バタバタと駆けて行った瀬川の背中を見て
小さな灯が、辺りを照らし始める
「俺...もしかして――?」
自分でも驚いた
悠理さん以外に芽生えた、この感情に
誰よりも自分が驚いた
そして、想像していたよりも心が穏やかだった事にも――
それでも、気が付いた瞬間
まるで無意識に蓋をしていたであろう気持ちが一気に溢れる
彼女との思い出をも飲み込んで
どんどん大きくなる
あの屈託のない笑顔が
何度も脳裏に過る



