「こんな所にいたの」
突然そんな声が降ってきて
下を向いていた顔を勢いよく上げた
「莉奈さん」
「いつまで飲み物待てばいいのよ」
「あ...」
「うーそ。部屋には私が持って行ったから」
間抜けな顔でそう言った俺に、悪戯っ子の様に舌を出して、ストンと隣に腰かけた莉奈さん
そして、ただ茫然とその姿を見つめていた俺の方に顔を向けた
「はい」
いつもと変わらない様子で、缶コーヒーを差し出した彼女
小さく会釈してそれを受け取り、プルタブを開ける
それでも、どうしても飲む気にはなれず、ただじっと手元に握られた缶を見つめた



