太陽と月



「――ちょっと、飲み物買ってきますね」



そう言い残して、ワイワイと盛り上がるプランナー達から逃げる様に俺は部屋の外へ出た



パタパタと駆け足で病院の中を進む

しばらくして、見つけたひと気のないソファーに、力なく腰かけた



途端に湧き出る溜息

やっと息ができた気がした




「――参ったな...」




自嘲気に笑って、目元を覆う

深く息を吐いて、そのまま項垂れた



こんなにも胸が痛いなんて、思いもしなかった



好きな人がプロポーズされる姿を見た

好きな人が結婚式を挙げる姿を見た



普通の神経じゃ、耐えられない様な経験をして

もう、ちょっとの事じゃ傷つかないと思っていたのに




「――何やってんだ...俺」




えぐる様な胸の痛み

湧き起こる、訳の分からない感情



いつか結婚式の日に感じた

空虚と切なさが再び胸を覆う



とっても幸せな事なのに

とっても、めでたい事なのに



心から喜んであげられない自分に

酷く幻滅した