「――産まれたって」
唐突に告げられた言葉は、そんなものだった
「え?」
「産まれたって、悠理の赤ちゃん」
携帯を片手に、そう言う莉奈さん
その言葉を理解して、必死に俺は笑顔を作った
「そうですかっ、良かったですね」
「明日みんなで会いに行くけど、一緒に行くでしょ?」
「はい」
会いたい
会いたくて会いたくて、たまらない
今すぐにでも、駆けて行きたい
産まれた子供は、どっちに似ているだろうか
母親になった彼女は、どんな表情をしているだろうか
久しぶりに会える彼女に、胸が高鳴る
会いたくて会いたくて、たまらなかった人
今でも、夢にまで見る人
――それでも
どこか心がキシキシと痛む



