「好きです。主任――何度フラれても、諦められません」
こんなにも好きなのに、諦めるなんてできない
諦めるくらいなら、想い続けていたい
――例え、それが叶わない恋だと分かっていても
私の言葉を聞いて、ゆっくりと瞳を伏せた主任
長い睫毛が頬に影を作る
音を無くした世界に、痛い程の沈黙が落ちる
そして、ドクドクと耳元で鳴る心臓の音に重ねる様に、主任がゆっくりと口を開いた
「瀬川は――いつも、真っ直ぐに俺と向き合ってくれていたな」
「――」
「だから、今日は――俺も真っ直ぐに、本当の気持ちを言う」
ゆっくりと上げられた瞳が私を捕らえる
大きな瞳に、淡い光が宿る
ドクドクと心臓が早鐘の様に鳴っている
震えてしまいそうな手足にギュッと力を入れて、目の前にいる大西主任を見つめた
再び痛い程の沈黙が流れる
それでも、しばらくすると真っ直ぐ前にある祭壇を見つめて主任がゆっくりと口を開いた
「――最初で、最後の恋だと思っていた」
2人っきりのチャペルに、大西主任の声が小さく響いた



