太陽と月



ふんわりと香る、どこかで嗅いだ事のある香り

私の胸を唯一締め付ける存在



私の太陽――





「瀬川の上司で、大西と申します」




私の両肩に手を添えて、そう言った主任

ゆっくりと後ろを振り向くと、大きな瞳を細めて私を見下ろす大西主任がいた




「ど..どうも」




急に現れた大西主任を見て、一度小さくお辞儀をした南様

それでも、何故今ここで大西主任が現れたのか分からないといった顔をしている



――実際、私にも分からない




そんな私達を置いて、大きな手を私の肩に添えたまま、いつもの様に話しだした主任




「申し訳ございませんが、瀬川はまだ仕事が残っておりますので、ここで失礼いたします」

「――え」

「とっても、いい余興でしたよ。南様」




そう言って、いつもの様に太陽みたいな笑顔で笑った主任

そして一度南様にお辞儀をしてから、ゆっくりと私の腕を引いて歩き出した



訳の分からない私は、引かれるままに歩き出す

軽いパニックになった私は、目の前の主任と、南様を交互に見つめた