太陽と月


勢いよく振り返ると、小さく首を傾げた大西主任が近づいてきていた



大好きな端正な、その顔と

大きな瞳が私を見据える




「今の所は、順調です」




違う緊張が私の心臓を叩いて、ドクドクと早鐘をうつ

そんな私の様子を見て、ふっと大きな瞳を細めた主任




「入場の入りだしのカウント取ってあるか」

「――あっ!!」

「だと思った――21秒だ」

「あ、ありがとうございますっ」




すっかり抜け落ちていた事を問われて、一瞬背筋に冷たいものが走る

それでも、大西主任のその言葉を聞いて安堵の溜息が漏れた



入りだしのカウントとは、新郎新婦が入場する時の扉を開けるタイミングだ

だいたい歌い出しに合わせて扉を開ける

いつもはお客様が入る前に、音響照明のスタッフと打合せをするんだけど

ドジな私はすっかり忘れていた