まるで駆け足の様に過ぎていく時間
挙式を終えた新郎新婦を控室にあげて、お客様を披露宴会場に通す
目まぐるしく変わる景色の中で、ミスはないかと目を配る
笑顔を絶え間なく配り
お客様1人1人の動きを見て、困っている事などないか探す
全く気の抜けない時間だ――
そんな中、アトラクションに乗る前みたいに、ワクワクした表情のお客様達
お2人が、おもてなしとして作られた様々なものを楽しんで見ている
『新郎新婦、準備整いました』
「前撮りは済んでいます。そのまま会場入り口まで来てください」
『了解』
すべての判断は私の一声
壊すも成功させるも、私次第
二度と繰り返される事のない結婚式というプレッシャーが私の両肩にのしかかる
フラッシュバックする以前のお客様の、あの冷たい瞳
再び足元から駆け上がる緊張に、ぎゅっと唇を噛みしめると
「大丈夫か」
温かい声が、不意に背を叩いた



