私の合図と共に、大きな扉が一斉に開く
眩しい程の光が2人を覆って、光の中に溶かしていく
美しい純白のドレスを身に纏った新婦さんの姿を見て、会場から溜息の様な吐息が漏れる
そして、真っ直ぐ伸びる新郎さんへの道を
1歩1歩、お父様と一緒に歩んでいった
「素敵だなぁ...」
再び閉ざされた扉を見届けてから、思わずポツリと呟いてしまった
今まで何度か結婚式を見てきたけど、やっぱり自分の担当するお客様の結婚式は、より感動する
まるで友人が結婚したような、そんな気持ち
「その気持ちを忘れるなよ」
すると、不意に聞こえた低く甘い声
思わず顔を持ち上げると、真っ黒の瞳を細めて扉の向こうを見つめる星野支配人の姿があった
「結婚式が業務的になったら、おしまいだ」
「――」
「その気持ち、絶対忘れるな」
そう言って、インカムのスイッチを入れた支配人
「挙式開始」
私はその時、星野支配人のその言葉を深く胸に刻んだ



