その声を聞いて、ゆっくりと顔を上げた新婦さん
ベールの向こう側では、潤んだ瞳から今にも涙が零れ落ちそうになっている
それでも、ゆっくりと頬を上げて微笑んだ新婦さん
そして
「――幸せになるね...お父さん」
見惚れるほど綺麗な笑顔でそう言って
一粒の真珠の様な涙を頬に流した
もらい泣きしそうになる中、介添えの人に目配せして、新婦さんの化粧を崩さない様に涙を拭いてもらう
スンスンと鼻をすする音が聞こえる
「お二人とも、準備はいいですか?」
そんな中、優しく声をかけてスタートの時を知らせる
私のその言葉を聞いて、大きく息を吸った2人
そして、小さく頷いた



