太陽と月



何度振り返っても情けない、私の人生

恥ずかしさを隠す様に、得意の笑顔で笑っていると




「それが、瀬川さんの強みだと思うけどな」




じっと私を見つめながら、何も言わなかった南様が真っ直ぐにそう言った

綺麗な口を持ち上げて、優しく微笑んでいる




「いつも助けてもらってばっかりって――でもそれは、いつも瀬川さんの周りには瀬川さんを想う人が沢山いるって事だよね?」

「――」

「きっと、人を惹き付ける何かを持っているんだと思うな。俺は」




優しい声色でそう言う南様

初めて言われたその言葉に、思わず固まってしまった




「それって、すごい事だと思うけどね」

「そう...なんでしょうか・・・」

「もっと自分に自信もっていいと思う。瀬川さんは」




最後に一度そう言ってから、ニッコリと笑った南様

そして、タイミングよく変わった信号と共に、ゆっくりとアクセルを踏んで再び車は走り出した




微かに音楽が響く中、ただただ真っ直ぐ前を見る

初めて誰かに、自分の事を褒められた

そっと優しく背中を押された様な、そんな感じ



眩しく輝く太陽みたいな大西主任と少し違うけれど

温かい、陽だまりの様な人だと思った